2021年8月、阪急OASIS昆陽東店の2階に開業したはしもと眼科クリニック。かつて8年間勤務した病院のある親しみのある伊丹の地で、地域のかかりつけ医として幅広い年齢層のアイケアをめざしている院長の橋本氏に、開業の経緯について話を聞いた。
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開業したドクターの声
doctor voice
橋本 もともと私は今で言う「リケジョ」に憧れて、ずっと研究者になりたいという気持ちがあり、なかでも人の役に立つ研究をしたいと思っていました。かつて、同居していた祖母の認知症が進行していくのを間近で見ていたこともあり、人間の体の変化を研究し、病気を治療するという医療の道を志すようになりました。また、女性が長く働くためにはライセンスを必要とする職業に就いた方がいいと考えたのも医学部を選んだ理由です。医学部入学後もやはり研究がしたいという気持ちが強かったのですが、研修医時代に臨床現場に出てみると、それが楽しくなってしまい、目指していた大学院にはいかず臨床に進むことにしました。
当時は学生実習の間に専門科を決めなければなりませんでした。そんな中で眼科を選んだのは、やはり学生時代の経験がきっかけです。実習で回った眼科で、あるご高齢の患者さんが手術の翌日に眼帯を外して「数十年ぶりに光が灯った」と感動していらっしゃった姿を見て「手術後すぐの患者さんに、これほど感動を与えられるのは素晴らしい」と、心を動かされたのです。
その後、大学病院や地域医療支援病院などでの勤務医を経て、2021年8月に開業しました。独立することは以前からなんとなく選択肢にありましたが、たまたま前勤務先の近隣の眼科クリニックの先生(現在、はしもと眼科クリニックで一部外来を担当している石橋和子医師)から継承開業の話があったのがきっかけで具体的に考え始めました。やはり地域の皆さんのためになる仕事がしたい、という思いが大きいです。クリニックの看板に「Family Eye Care(ファミリー・アイ・ケア)」という言葉を掲げているように、地域の「家族みんな」が頼りにしてくださるようなクリニックでありたいと思っています。
眼科は年齢性別関係なく幅広い患者さんに関わりのある診療科です。小さいお子さんなら視力の発達を見守る必要があり、弱視の発見や治療が重要です。学齢が上がると、最近はスマホやタブレットなどの普及で近視のお子さんが増えているので、自費診療も含めて近視の進行を抑制する最新治療も取り入れています。中高生以上になるとコンタクトレンズの処方を希望する人が多くなります。かつて勤務していた病院ではコンタクトレンズによる角膜トラブルで受診する患者さんが多く、入院を余儀なくされるような重症例も経験してきましたから、そういうリスクについても啓蒙しながら適切なコンタクトレンズ装用を指導し、地域のコンタクトによる眼障害の軽減につながればと思っています。
中年期以降注意したいのが緑内障。初期は自覚症状がないため早期発見、早期治療がとても大切なのですが、初期の診断が難しい場合もあるので、検査機器も揃え、しっかりとした診断を心がけています。緑内障の中期以降では、当院には手術室はないものの、手術適応やそのタイミングについて見逃さないよう努め、必要ならすぐに連携する医療機関に紹介しています。また、高齢の患者さんに多い白内障については、近くにある市立伊丹病院の開放型病床を利用して週に1回、手術の執刀をしています。
その他、当院では結膜下注射や硝子体注射、レーザー治療も行っています。硝子体注射や網膜に対するレーザー治療などでは通院が多数回必要になるケースも多いのですが、予約可能な時間が限られてしまう病院では現役世代の患者さんは通院が難しいことが少なくないため、そこを当院がカバーしていけるよう、今後も体制を整えていきたいと考えています。
▲クリニック内部。明るい雰囲気の待合室や診察室と、最新の検査機器が揃う検査室
橋本 先ほど少しお話ししたように、当初は当院近くの眼科クリニックの継承を検討していたのですが、建物の老朽化等の事情で同じ場所での開業は難しく、近隣で物件を探すために文字通り “探し歩き”ました。駅周辺はすでに競合する眼科が多かったので断念。駅から離れていても人の集まる場所を探していたら、ここに1件空きを見つけたのです。ですから物件紹介サイトやコンサルタントサービスを利用したのではなく、偶然見つけた物件がDCPソリューションの物件だったんです。それ以来DCPソリューションの担当の方には色々なことを相談させてもらいました。業者さんを指定されたりすることもなく、こちらの希望を尊重してアドバイスしてくださり、困ったら助け舟を出してくれるというスタンスで、とてもやりやすかったです。
物件探しを始めてから開業までにかかった期間は1年くらい。病院を退職したのは開業の2カ月前で、それまではそれほど忙しくなかったので、勤務を続けながらの準備ではありましたが十分両立できました。コンサルタントさんとは定期的にお会いして相談していましたが、普段の連絡はメールでできましたし、開業準備に忙殺されたという印象はありません。スタッフ集めはハローワークとかつての人脈を活用して、比較的スムーズにできたと思います。現在、事務職は常勤2名、看護師や視能訓練士などは非常勤を多めに採用し、常時4〜5名の体制で診療しています。眼科では医師、看護師のほかに視能訓練士などの有資格者が必要なので、その求人だけは少し苦労しましたが、知人を介して信用できるスタッフを確保できました。
実際に開業して、やはりこの物件に出合えてラッキーだったと思っています。商業施設なので地域の人に認識してもらいやすいだけでなく、同じビル内にスギ薬局があり密に連携できるのは本当に助かります。患者さん、クリニック双方にとって、近くにある薬局で必要な薬を処方できるのが一番。スギ薬局のスタッフの人たちは私たちの要望を快く聞いてくれ、小さなミスに気づいてくれるなど、家族のような存在です。気になることがあればすぐ確認しに行けますし、時には患者さんへの伝言をお願いすることもあります。
集患については、正直なところ簡単ではありません。開業直前に勤務していた病院が大阪市内と少し遠かったこともあり、当時担当していた患者さんに通院していただいているケースはごく一部だけです。初診時に問診票で来院きっかけのアンケートをとっているのですが、一番多いのが「ホームページを見て」という患者さん。当初は駅近ではないため、ご近所の患者さんしか想定していなかったので、私自身はホームページは不要だと思っていたくらいですが、周囲から「絶対ホームページを作った方がいい」と勧められまして。たとえご本人が高齢でインターネットを使わなくても、同行のご家族がパソコンやスマホで検索されて来院されることもしばしばあり、ホームページの重要さを思い知りました。今後はホームページの内容をさらに充実できたらと考えています。
その他、1年間バスに広告を出してみたのですが、あまり効果はありませんでした。意外に反響があったのは開業時のポスティング広告です。短期間である程度の集患につながり、費用対効果が高かったので、再度ポスティングは検討の余地ありと考えています。
橋本 勤務医から開業医になるというのは、全く知らない世界に飛び出すことになるので、業務もわからないことだらけです。ですから、信頼できる相談相手を持つことがとても大切です。それもコンサルタントなど、身内以外の第三者がいいでしょう。私の場合、DCPソリューションに巡り合う前にも、検査機器を扱う会社など、複数の医療関連企業の担当の方などに相談させてもらっていました。無料でも安価でも、良心的なコンサルタントはたくさんいると思うので、まずはそうした相手を探してみてください。
▲同じ建物の1階にあるスギ薬局昆陽東店